研究概要 |
ウマ赤血球膜上のアミノ酸輸送およびKCL共輸送体の遺伝子を同定するため,まずゲノムDNAをTemplateとしたPCR産物の塩基配列を解析し,ウマゲノム上での遺伝子座の存在を確認し,ついで2段階液体培養法により成熟培養した末梢血由来赤血球系幹細胞由来のmRNAをTemplateとしてRT-PCRおよびRACE法により発現遺伝子の塩基配列を決定した. 1.ウマ赤血球に発現するアミノ酸透過酵素遺伝子の同定 1)ウマゲノムには,SLC1A4,SLC1A5,SLC3A1,SLC3A2,SLC7A5,SLC7A6,SLC7A7,SLC7A8,SLC7A9,SLC7A10およびSLC7A11およびSLC43A1が存在することを確認した.2)このうち,SLC7A10をECA10p15にマッピングした.3)さらに成熟培養中のウマ赤血球系幹細胞ではSLC1A5,SLC3A1,SLC3A2,SLC7A5,SLC7A7,SLC7A8およびSLC7A11が発現していることを確認した.4)SLC3A2およびこれとHeterodimerを形成するSLC7A7およびSLC7A11の完全長cDNAの塩基配列を決定した. 2.ウマ赤血球に発現するKCL共輸送体遺伝子の同定 1)ウマゲノムにはSLC12A4が存在することを確認した.2)SLC12A4をECA3p13にマッピングした.3)成熟培養中のウマ赤血球系幹細胞でSLC12A4が発現していることを確認し,4)さらにその完全長cDNAの塩基配列を決定した. したがって成熟培養中のウマ赤血球ではSLC3A2がSLC7A7あるいはSLC7A11とHeterodimerを形成し,アミノ酸輸送を司っていることを示唆した.さらにSLC3A1,SLC7A5およびSLC7A8が発現している可能性を示唆した.またウマ赤血球ではSLC12A4がKCL共輸送を担っていることを示唆した.
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