【目的】血管内皮細胞・周細胞相互陥入部Endothelial cell and pericyte interdigitation(EPI)は血管新生初期に比較にして血管新生成熟期に有意にその数が増加するこを本研究者はラット実験肉芽組織モデルを用いて三次元電顕免疫学的に証明した。さらに、EPIでは血管新生因子の受容体は周細胞側に発現すること、さらに内皮細胞の増殖阻害因子が発現することを三次元電顕免疫学的に証明した。この結果から、EPIが血管新生制御機構に於いて新生血管の増加よりも、新生血管数の選択的維持に関与することを示唆した。そこで、EPIの増減と関与する遺伝子を検討するために、ラット実験肉芽組織モデルを対象としてAtlas cDNA Expression Array解析を行い、同定された一部の遺伝子の発現をReal Time RT-PCR法で解析した。 【方法】7週齢雌SDラットの背部皮下に硬質スポンジを無菌的に埋め込んだ。その後、経日的に実験肉芽組織を摘出し形態学的検討を行った。さらに、実験肉芽組織からpoly(A+)RNAを抽出しAtlas cDNA Expression Arrayを作成しmRNAの発現の推移を検討した。 【結果・考察】実験肉芽組織内に認められる新生毛細血管数は経日的に増加し7日目で最高値を示し、その後10日目で減少を示した。これら毛細血管の直径は7日目まで有意に小さい値を示し、その後10日目で増大を示した。マイクロアレイ解析から7日目では既存のVEGF・PCNAmRNAの発現増加か認められたが、10日目ではVEGFmRNA発現は減少傾向を示した。これに対し、10日目ではアポトーシス関連遺伝子mRNAの発現増が認められ、これに対し、PCNAmRNAの発現は減弱するも発現は維持されていた。次にRT-PCR解析をVEGF・PCNAmRNAについて行ったが、マイクロアレィ解析と同様の結果を示した。そこで、現在、VEGF・PCNAに関して二次元電顕免疫学的検討を行っている。さらにアポトーシス関連遺伝子mRNAのRT-PCR解析の準備を行っている。
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