研究課題/領域番号 |
15580270
|
研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
水谷 哲也 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (70281681)
|
研究分担者 |
江下 優樹 大分大学, 医学部, 助教授 (10082223)
苅和 宏明 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (70224714)
倉根 一郎 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 部長 (90278656)
|
キーワード | siRNA / ヒトスジシマカ / 西ナイルウイルス / マイクロインジェクション / キチナーゼ / 蚊 / JNK |
研究概要 |
1.蚊におけるJNKの重要性 これまで蚊の培養細胞においてJNKのシグナル伝達系が重要な役割を果たしていることを明らかにしてきたが、実際に蚊における役割は不明であった。そこで、ヒトスジシマカの一齢幼虫を種々の濃度のJNK阻害剤(SP600125)で飼育したところ、濃度依存的に成長を阻害した(論文作成中)。培養細胞においてJNKの不活性化はアポトーシスを促進するので、脱皮におけるアポトーシスがJNK阻害剤で阻害されたためと考えられた。 2.siRNAの合成 上述のように蚊におけるJNKの重要性が示されたので、siRNA合成にあたりJNKの遺伝子の中で最も阻害効果のある配列を3箇所決定し合成した。現在、これらのsiRNA溶液中で一齢幼虫を飼育する準備をしている。 3.siRNAのデリバリー方法の検討 蚊の幼虫へsiRNAを導入するにあたり、種々の方法を検討した。ヒトスジシマカの3齢幼虫にsiRNAをマイクロインジェクションし成長過程を観察する方法を確立したが、この方法は多くの幼虫に施すことは不可能であることがわかった。そこで、JNKの2本鎖RNAを合成し、合計5種類の市販のトランスフェクション試薬を用いて種々の検討をおこなった。しかし、マイクロインジェクション法に勝る試薬を見出すことはできなかった。この実験の過程で、3齢幼虫よりも1齢幼虫のほうが物質を導入しやすいこと、および、1齢幼虫でも孵化して間もない頃と2齢幼虫になる直前の頃では、物質の導入率に差があることがわかった。そこで、現在、孵化して間もない幼虫を集めて、JNKの2本鎖RNAの導入効率について検討している。 4.キチナーゼの阻害剤 放線菌から採取された種々のキチナーゼの阻害剤を含むと思われる培養液を分与された。ヒトスジシマカの1齢幼虫をそれらの培養液で飼育すると、2種類の培養液で発育が阻害されたので現在遺伝子を同定している。また、キチナーゼはsiRNAの標的になることが期待される。
|