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2003 年度 実績報告書

ゲノムバイオロジーを基盤とする黄色ブドウ球菌の分子疫学と危害評価

研究課題

研究課題/領域番号 15580272
研究機関岩手大学

研究代表者

重茂 克彦  岩手大学, 農学部・獣医学科, 助手 (60224309)

研究分担者 品川 邦汎  岩手大学, 農学部・獣医学科, 教授 (60133906)
キーワードS.aureus / Staphylococcal enterotoxin / recombinant DNA / genome biology / diagnosis / pathogenicity islands / plasmids
研究概要

近年、複数株の黄色ブドウ球菌ゲノム全塩基配列が決定されたことにより、このゲノム情報を基盤としたブドウ球菌の病原性の解明と疫学への応用が期待されている。本研究は、ゲノム配列情報を活用し、特にブドウ球菌の重要な病原因子であり、ヒトの食中毒の原因毒素であるエンテロトキシン(SE)に焦点を絞り、SE遺伝子群がコードされている可動性遺伝因子(pathogenicity islands, prophageおよびプラスミド)の特徴を明らかにすること、さらに、近年その存在が明らかになってきた新型SEの生物活性についても詳細な解析を行うことを目的として、以下の研究を行った。
A.Multiplex PCRによるSE遺伝子検出法の開発
現在までに報告されている18種類のSE(SEA-SEE, SEG-SER)遺伝子を検出できるmultiplex PCRシステムを開発し、効率的にブドウ球菌のSE遺伝子プロファイルを解析することを可能とした。
B.ブドウ球菌SE遺伝子プロファイルと既知の可動性遺伝因子SE保有パターンとの関連
上記multiplex PCRシステムを用い、食中毒由来黄色ブドウ球菌69株、健康ヒト由来黄色ブドウ球菌59株のSE遺伝子プロファイルを行った。さらに、この遺伝子プロファイルをゲノム配列決定によって明らかになった種々の可動性遺伝因子のSE遺伝子保有パターンと比較したところ、多くの株でSE遺伝子の存在様式は既知の可動性遺伝因子SE多型パターンに従っており、黄色ブドウ球菌のSE遺伝子プロファイルは、どのような可動性遺伝因子をゲノム上に保有しているかで決定されることが推測された。しかしながら、既知のSE保有パターンに従わない株も存在し、新たなアロタイプが存在する可能性が示唆された。
C.新型SEの生物活性の解析
SEJあるいはSEDとSEJをコードするプラスミド上に、これらのSE遺伝子とタンデムに新型SEであるSER遺伝子が存在することを明らかにした。さらにSERの生物活性を精査し、SERはスーパー抗原活性を有することを明らかにした。また、SERの定量的検出法を確立した。
以上の成果は、食中毒原性黄色ブドウ球菌がどのような法則性をもってSE遺伝子のセットを保有しているか、また、どのようにして複数のSE遺伝子を獲得してきたかを明らかにするうえで、極めて重要な知見であると考えられる。
次年度は、本年度の成果を基に、既知の可動性遺伝因子のSE保有パターンに従わない株の遺伝子解析を進め、新たな可動性遺伝因子が存在するか否かを検索する。それとともに、SER関連プラスミドの塩基配列を決定し、これらのプラスミドの遺伝学的特性を明らかにする。さらに、簡便に可動性遺伝因子を検出・分類するための手法を開発し、これをブドウ球菌食中毒の分子疫学に応用することを目指す。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Omoe, K.et al.: "Identification and characterization of a new staphylococcal enterotoxin-rerated putative toxin encoded by two kinds of plasmids"Infection and Immunity. 71(10). 6088-6094 (2003)

  • [文献書誌] Omoe, K.et al.: "Biological properties of staphylococcal enterotoxin-like toxin type R"Infection and Immunity. (in press). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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