研究課題/領域番号 |
15580273
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
杉山 誠 岐阜大学, 連合獣医学研究科, 教授 (80196774)
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研究分担者 |
源 宣之 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (10144007)
北川 均 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70144003)
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キーワード | ロタウイルス / 血清疫学 / 発現精製VP8 / ラテックス凝集試験 / P遺伝子型 / 人獣共通感染症 / 日本脳炎ウイルス |
研究概要 |
平成16年度で確立された3つの異なるPタイプ(ヒトの主な流行遺伝子型P[4]とP[8]、動物の一部で流行している遺伝子型P[2]とP[3]、及びトリの流行遺伝子型P[17])のロタウイルスに対する抗体を特異的に検出することが可能なラテックス凝集試験(LA試験)を用いて、各種動物でのロタウイルスの感染状況を調査した。調査した動物は、ドブネズミ112、ヌートリア43、タヌキ39、イノシシ43、ニホンジカ60、ニホンザル87、カワウ90、イヌ101及びネコ63例である。 その結果、ドブネズミ、ヌートリア及びカワウでは、いずれのLA試験でも0〜7.1%と低い抗体陽性率であった。特にヌートリアでは、0〜2.3%とほとんど今回調査したロタウイルスの感染が起きていないことが示された。また、名古屋の下水道に生息していたドブネズミではヒトロタウイルスに対する抗体陽性個体は、112例中わずか2例(1.8%)であった。前年度の調査からヒトでは高率なヒトロタウイルスの感染が確認されており、本ウイルスの感染には動物による感受性も重要な因子であることが示唆された。タヌキでは、トリ及び動物ロタウイルスの感染が比較的低頻度で起きていることが示された。イノシシ、ニホンジカ、ニホンザル、イヌ及びネコでは、動物ロタウイルスの感染が中心となり、トリ及びヒトロタウイルスの感染が加わる複雑な感染環の形成が示された。特にイノシシでは49〜77%の高い抗体陽性率となり、イノシシはロタウイルスの病原巣として重要である可能性が考えられた。そこで、今回収集した血清を用いて、別の重要な人獣共通感染症病原体である日本脳炎ウイルスに対する血清疫学調査を行ったところ、イノシシが本ウイルスの増幅動物である可能性が示された。最近、増加していると報告されているイノシシが人獣共通感染症の重要な病原である可能性が示された。
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