研究課題
マクロファージに発現する自然抵抗性関連マクロファージタンパク(NRAMP-1)が抗酸菌感染により誘導される免疫により影響を受けるか否かを調べた。非付着性のヒト単球系株化細胞THP-1にPMAを加えたところ、6〜12時間ほどで付着性をもつようになった。NRAMP-1mRNAは非付着状態でもわずかに発現していたが、PMA刺激によってその量を増加させることが分かった。さらにPMA刺激後IFN-γを加えると、PMA単独刺激に比べてmRNA量が十数倍に増加することをリアルタイムPCR法にて確認した。NRAMP-1タンパクの発現をウエスタンブロッティングにより調べたところ、PMAならびにIFN-γによる刺激により発現量が増加した。次にC57BL/6(B6)とそのNRAMP-1コンジェニック(Bcgr)、それにC3H/HeマウスにM.lepraemuriumを感染させ、肉芽腫形成における遺伝的影響を調べると同時に、B6とC3H/He(C3H)については病変の経時的変化と、それらのF1およびF2における感受性差を調べた。B6とBcgrとの間で感受性および肉芽腫形成能にほとんど差異が見られなかった。一方、C3Hは相対臓器重量、臓器内菌数ともにB6より有意に増加していた。病理組織学的にはC3Hでは細胞反応が乏しい微小肉芽腫が大量に形成されていたのに対し、B6では著明なリンパ球浸潤を伴った巨大肉芽腫が形成された。F1の脾臓内菌数、組織学的特徴はC3HとB6の中間値を示していた。一方、F2では脾臓内菌数においてC3Hより高値を示した個体が全体の7割以上を占め、肉芽腫形成には複数の遺伝子が関与していることが示唆された。また、死亡率は雌より雄のほうが有意に高く、感受性に性差を認めた。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
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