研究概要 |
1,2,3,4,10,25週齢のmvラットおよび同腹の非発症対照ラットの脳・脊髄・視神経・坐骨神経を採材し、電顕観察および免疫組織化学を用いて詳細な検討を行い、mvラットにおけるミエリン形成過程の形態計測を行った。mvラットでは既に1週齢よりミエリン低形成が見られ、しばしばミエリン内の空胞形成、ミエリン層板の離解が認められた。また、一つのミエリンが複数の軸索を取り囲む異常なミエリン形成が認められた。MahoganyマウスおよびZIラットを入手し、組織学的・電顕的に病変を比較した。ZIラットとmvラットの中枢神経病変に明らかな違いは見られなかったが、mahoganyマウスの電顕所見は、ラットに比べ軽度であり、ミエリンの離解のみが観察され、異常なミエリン形成は認められなかった。アトラクチンのミエリン形成過程における役割を検討する目的で、市販の抗アトラクチン抗体(サンタクルーズ社)および京大院・医・動物実験施設の庫本博士に分与いただいたC末およびN末に対する抗体を用いてアダルトラットの脳における発現を検討した。市販抗体では明らかな発現は認められなかったが、C末に対する抗体を用いた免疫組織化学において、微弱ながら神経細胞の細胞表面にアトラクチン発現が認められた。また、in vitroでのミエリン形成細胞での発現を確認するため、初代培養オリゴデンドロサイトを用いて免疫組織化学を行ったが、明らかな発現は見られなかった。現在、脳の形成過程におけるオリゴデンドロサイトおよびその前駆細胞の細胞動態をmvラットにて観察する目的で、PDGF-αに対するプローブを用いたin situ hybridization法を検討中である。
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