研究課題
基盤研究(C)
平成15年度の研究では、BDV感染によりウイルス抗原がPML蛋白と結合することによりPML-NBを消失させ、細胞の増殖分化や遺伝子の転写などに影響をおよぼすことを明らかにした。このようにBDVは、PML-NBの抗ウイルス効果に対し抵抗性を獲得することにより持続感染を成立させている可能性が推察された。また、PMLはアポトーシスと密接に関連していることから、BDV持続感染には、アポトーシスに対する抵抗性の獲得もその機序の一因と予想される。そこで平成16年度は、BDV持続感染した細胞におけるアポトーシスに関連する遺伝子・蛋白の動態についてアポトーシス誘導因子を用いて以下の2点について調べた。1.アポトーシス誘導剤(Camptothecin; CPT)及びUV照射によるアポトーシス抵抗性2.アポトーシス関連因子(Caspase 3 & Bax)の遺伝子発現の解析BDV持続感染細胞では、CPT処理によるアポトーシス誘導に対し抵抗性を示した。このCPT処理したBDV持続感染細胞では、アポトーシス関連遺伝子であるCaspase 3及びBax遺伝子発現が抑制されていた。次に、UV照射によるアポトーシス抵抗性をBDV持続感染と非感染C6細胞で比較した。UV照射(50J)は、C6細胞に対しBax及びCaspase3両遺伝子発現を誘導したが、対照的に、持続感染細胞では、アポトーシス及びBax・Caspase3の遺伝子発現が抑制されていた。これらの結果から、BDVは、細胞に持続感染することによりアポトーシス或いは細胞障害性に対する抵抗性を細胞に付与することが明らかとなり、ウイルス由来の遺伝子あるいはタンパク質がCaspase3及びBax遺伝子の発現に影響をあたえている可能性が示唆された。これらの現象は、PML構造の変化に伴うアポトーシス関連遺伝子の転写機能障害に起因するのか、ウイルス由来の蛋白あるいは遺伝子産物が直接アポトーシス関連遺伝子・蛋白分子に影響を与えているかは、今後の詳細な検討が必要である。
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