研究課題/領域番号 |
15580285
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
宇塚 雄次 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (30151913)
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研究分担者 |
小俣 吉孝 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (10132987)
田辺 茂之 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (70292092)
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キーワード | 重症筋無力症 / 犬 / アセチルコリン受容体 / αサブユニット / εサブユニット / コスミックII / TE671 |
研究概要 |
イヌ後天性重症筋無力症(MG)は、神経筋接合部におけるアセチルコリン受容体(AChR)が自己抗体によって崩壊するために神経筋伝達不全が生じ、全身的または局所的な筋虚弱を臨床症状として呈する疾患である。AChR抗体価の陽性所見は後天性MGの診断において非常に特異的であり、イヌ胎児筋由来AChRを抗原とした放射性免疫沈降法(RIA法)によって測定される。今回我々は、日本で利用可能であるヒト用抗AChR抗体測定キット‘コスミックII^<【○!R】>'をイヌに応用した場合の抗体価の評価ならびに測定系としての有用性について検討した。 臨床学的に後天性MGと診断された14症例のイヌ血清を用いて、従来の測定系による抗体価(抗AChRcanine抗体価)とコスミックII^<【○!R】>における抗体価(抗AChR_<TE671>抗体価)を測定した。コスミックII^<【○!R】>はヒト横紋筋肉腫セルライン(TE671)より抽出したAChRを抗原としたRIA法である。従来の測定系の陽性率43%(6/14)に対して、コスミックII^<【○!R】>は0.25nMを参照上限値とした場合71%(10/14)という高い値を示した。また、両抗体価の比較によりAChRの種特異性による抗体の結合親和力の低下と、コスミックII^<【○!R】>が従来の測定系と比較して多くの成熟型AChRを含有していることにより、εサブユニット特異性抗体の検出が可能となり陽性率の向上をもたらした可能性が示唆された。 本研究において、コスミックII^<【○!R】>は従来の測定系よりも感度が高く、イヌのAChR抗体価の測定法として高い有用性が示唆された。しかし、本研究では認められなかったが、εサブユニット特異性抗体が優勢ではないMG血清においてはAChRの種特異性の理由から偽陰性結果を呈する可能性が考えられ、今後より多くの症例で検討することによってコスミックII^<【○!R】>の有用性を確実にする必要がある。
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