研究課題/領域番号 |
15580285
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
臨床獣医学
|
研究機関 | 岐阜大学 (2004) 帯広畜産大学 (2003) |
研究代表者 |
宇塚 雄次 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (30151913)
|
研究分担者 |
更科 孝夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (00154138)
小俣 吉孝 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (10132987)
田辺 茂之 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (70292092)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
キーワード | 重症筋無力症 / アセチルコリン受容体 / 犬 / 昆虫細胞発現系 / α-subunit / 胎児由来アセチルコリン受容体 / 成熟型アセチルコリン受容体 / ELISA |
研究概要 |
後天性重症筋無力症(MG)は、骨格筋における神経筋接合部シナプス後膜のアセチルコリン受容体(AChR)に対する自己抗体(抗AChR抗体)により神経筋伝達不全をきたす自己免疫性疾患である。抗AChR抗体はACh結合領域(α183-200)を認識する阻止型AChR抗体とそれ以外を認識する結合型AChR抗体とに大別される。そこで、本研究ではACh結合領域および結合型AChR抗体の約2/3が認識するとされるmain immunogenic regionとよばれる領域(MIR,α67-76)の両方を含む組換AChRα-subunit蛋白を、大腸菌発現系ならびに昆虫細胞発現系を利用して作製し、これを抗原としたELISA系の確立を試みた。結果的に感受性、特異性ともに認められず、この抗原は抗AChR抗体の検出には有用ではないことが明らかになった。これは、大腸菌発現蛋白ならびに昆虫細胞発現系においてはMIRの立体構造修飾がうまく復元できなかった、あるいは細胞内蛋白がACh結合領域のペプチドの生理活性に影響を与えた等の理由が考えられた。 次に、我々はヒト横紋筋肉腫細胞由来AChRα-subunitを抗原とした、ヒト用抗AChR抗体測定キットをイヌに応用した場合の抗体価の評価と測定系の有用性について検討した。臨床学的に後天性MGと診断された14症例のイヌ血清の従来の測定系(カリフォルニア大学)とコスミックIIにおける抗体価を比較した。コスミックIIによる抗体価は従来の測定系による抗体価に対して、4症例は相対的低値を示し、また6症例において相対的高値を示した。この結果はコスミックIIをイヌに応用した場合のAChRの動物種特異性による感受性の低下と、コスミックIIの抗原であるヒト横紋筋肉腫細胞由来AChRが従来の測定系のイヌ胎児由来AChRよりも多くの成熟型AChRを含んでいることによる感受性の増強を意味するものと思われた。臨床応用に当たって、前者は低い抗体価で発症する症例における偽陰性反応を示唆し、また後者は抗AChR_<canine>抗体価が陰性であった場合の次の段階の検査法としての有用性を示唆した。
|