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2004 年度 実績報告書

動物の中枢神経系疾患における自己免疫応答の関与とその病理発生機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15580289
研究機関宮崎大学

研究代表者

内田 和幸  宮崎大学, 農学部, 助手 (10223554)

キーワードイヌ / 壊死性髄膜脳炎 / 肉芽腫性髄膜脳 / 自己抗体 / T細胞
研究概要

本年度は、東京大学の協力を得て、イヌの壊死性脳炎罹患例多症例でCSF中の自己抗体の確認が行われた。この際、GME罹患犬にも自己抗体が検出され、これら2つの原因不明の炎症性疾患における病理発生の背景に自己免疫応答が関与することが強く示唆された。本研究成果は、国内学術雑誌に公表した。一方NMEやGMEにおける炎症細胞の分布については、昨年度パラフィン標本を用いて検索し、その結果を公表したが、本年度は急性期および亜急性期のNME罹患パグ犬2例の脳凍結組織が得られたので、これらの凍結標本に蛍光抗体法を施し、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。その結果、NMEの炎症病変にはCD3+CD4+T細胞とCD3+CD8+T細胞が多く、脳実質内にはMHC class II陽性ミクログリアが著明に増加していた。またIgGとGFAPの二重染色により炎症部の軟膜、星状膠細胞の細胞体と突起が両抗体に強陽性を示し、補体C3とGFAPによる二重染色でも同結果が得られた。数量的解析の結果、NMEの病変部には、B細胞、単球・組織球系細胞に比べCD3+T細胞が有意に多いことが判明し、さらに亜急性例ではその他の細胞に比べCD4+T細胞及びCD8+T細胞が有意に多く、脳実質内ではCD8+T細胞がCD4+T細胞と比べて有意に多いことが明らかになった。以上の研究結果より、NMEではMHC class IIを発現したミクログリアが著明に増殖し、本細胞の活発な抗原提示によりNMEの炎症が誘発されると考えられる。浸潤細胞はT細胞が主体である。急性期にはCD8+T細胞が優勢で、亜急性期にCD4+T細胞が増加する傾向があった。NMEの壊死病変は亜急性期に顕著化することを考慮すると、CD4+T細胞によるB細胞活性化は、自己抗体の産生を促進し、CD8+T細胞による細胞障害に加え、自己抗体を介した様々な組織障害によりNMEの広範な皮質壊死が生じるものと示唆される。この免疫応答の根本的な原因については不明であるが、その病理発生には制御性T細胞など自己免疫抑制に関わる遺伝的異常が関与する可能性も考えられる。以上の結果は、来年度までにとりまとめ公表を予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Prevalance of autoantibody in cerebrospinal fluid from dogs with various CNS disease2004

    • 著者名/発表者名
      N.Matsuki, K.Fujiwara, K.Tamahara, K.Uchida (他5名)
    • 雑誌名

      J.Vet.Med.Sci. 66

      ページ: 295-297

  • [雑誌論文] A comparative study of age-related brain pathology - Are neurodegenerative diseases present in nonhuman2004

    • 著者名/発表者名
      H.Nakayama, K.Uchida, K.Do
    • 雑誌名

      Medical Hypotheses 63

      ページ: 198-202

URL: 

公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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