研究課題/領域番号 |
15580293
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
若尾 義人 麻布大学, 獣医学部, 教授 (20063969)
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研究分担者 |
武田 伸一 国立精神・神経センター, 神経研究所・遺伝子疾患治療研究所, 部長 (90171644)
藤井 洋子 麻布大学, 獣医学部, 助手 (10318884)
武藤 眞 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (90130898)
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キーワード | Duchenne型筋ジストロフィー / 拡張型心筋症 / 犬 / 心電図異常 |
研究概要 |
ヒトDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)の治療を目的に作成された本コロニー(Canine X-linked Muscular Dystrophy in Japan, CXMDJ)における心機能障害を検討する目的で、生後3週齢より心機能検査を開始した。検査内容は、一般身体検査、心電図検査、心エコー検査、ホルター心電図および病理組織検査である。その結果、検査を実施した生後20ヶ月齢までのCXMDJにおいて興味ある知見が得られた。 CXMDJは生後3ヶ月齢頃より流涎、嚥下障害ならびに異常発声などのDMDに伴う臨床症状が出現した。また、心電図検査においては犬のDMDで報告されている異常Q波の出現ならびにQ/Rの増大などの所見が同様に認められた。さらに、若齢期(生後6ヶ月齢まで)においてはQ波持続時間の延長も認められた。間欠的に実施したホルター心電図においては生後9ヶ月齢で心室性期外収縮が多発する例が観察された。しかしながらこの例では、心エコー検査および病理組織検査における作業心筋には異常は認められなかった。 以上の結果からCXMDJでは心筋の線維化などの器質的変化が認められないにもかかわらず、早期から心電図異常を呈し、また不整脈が出現していることが判明した。この事は心電図の異常特にQ波の異常や不整脈の出現がこれまで報告されている左心室の線維化に起因する起電力の低下に伴うものでないことを示唆している。そこで、第二段階として今後は異常Q波の出現部位を探査し原因を究明するための電気生理学的検査を考慮している。
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