研究課題/領域番号 |
15580295
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
上木 勝司 山形大学, 農学部, 教授 (10111337)
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研究分担者 |
加来 伸夫 山形大学, 農学部, 助教授 (80359570)
上木 厚子 山形大学, 農学部, 教授 (60143088)
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キーワード | 好熱性嫌気性微生物 / 好熱性嫌気性セルロース分解細菌 / 好熱性嫌気性デンプン分解細菌 / 計数と分離 / 熱安定性アミラーゼ / 水田土壌 / バイオマス変換 |
研究概要 |
1.水田土壌等の中温環境における好熱性嫌気性微生物の分布と多様性の検討 酸生成嫌気性細菌の培養に一般的に使用されるPY培地で、水田土壌中に生息する好熱性酸生成嫌気性微生物のMPN計数と分離を試みた。計数値(MPN/g湿土壌)は、土壌が採取された季節を問わず、65℃保温で10^6レベルと、30℃保温の数%レベルであり、少なくとも今回試験した水田土壌中には高温条件下でも増殖できる嫌気性細菌がかなり高密度で生存していることを明らかにした。65℃保温MPN培養からは65℃で継代可能な一次分離菌株を40菌株分離した。これらの分離菌株については、純化し、生理的性質や系統的位置づけを調べる予定である。なお、併せて、好熱性セルロース分解微生物の集積培養を試み、安定した集積培養系を確立した。 以上に加え、水田土壌並びにそれに由来する高温嫌気集積培養についての16S rDNA配列のDGGE解析による好熱性嫌気性微生物の多様性解析に向け、実験条件の検討を進めた。 2.好熱性嫌気性細菌分離菌株のバイオマスからのエタノール生成への利用 以前本研究室で我が国各地の水田の土壌から分離した7菌株のThermoanaerobacter属細菌について、糖類の利用性とエタノール生産について検討した。分離菌株が、多糖類を含む試験した29種類の糖類の内、特にデンプンとグルコースから比較的効率よくエタノールを生成し、その収率は糖10g当たり3-5gにのぼることが明らかになった。 更に、分離菌株が培地中に分泌するアミラーゼについて、Km値、熱安定性や反応の最適温度等を調べ、いずれも50-80℃で活性を示す好熱性酵素であるが、酵素的特性は菌株の分離源に対応して異なっており、一部の菌株の酵素が、100℃、30分の熱処理でも20%の活性を維持する、かなり熱安定性の高い酵素であることを明らかにした。
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