研究課題
基盤研究(C)
基質特異性が異なるミミズ由来セリンプロテアーゼのうち最もプロテアーゼ活性が高く安定であるisozyme AのcDNAについて、前駆体型領域(オープンリーディングフレーム)と活性型領域をPCR法により増幅した。得られた792bpと774bpの遺伝子をそれぞれコムギ胚芽発現用ベクターに導入したプラスミドを構築し、コムギ胚芽無細胞発現システムを用いたタンパク質の発現を検討した。26℃、23時間反応した反応液をSDS-PAGEで分析した結果、前駆体型領域のプラスミドと活性型領域のプラスミドではそれぞれ約26kDaと約25kDaのタンパク質が合成されていることが明らかとなり、ミミズ由来セリンプロテアーゼ遺伝子が植物で発現することを確認した。そこで、活性型isozyme A遺伝子を植物発現用プロモータCaMV35Sの下流に連結したプラスミドを構築し、アグロバクテリウムに導入後シロイヌナズナに感染させてT1種子の取得に成功した。T1種子をカナマイシン含有MS培地で生育させたところ、生育する形質転換体は、1)正常な形態を示すもの、2)葉がブリーチングされるもの、3)葉の形態が異常になるもの、に分類できた。異なる形態を示す形質転換体の幼少葉から全RNAを抽出しRT-PCRを行った結果、2と3の形態を示す形質転換体でアイソザイムA由来遺伝子断片の増幅が起こり、ミミズ由来プロテアーゼ遺伝子が導入され発現していることが確認できた。2と3の形質転換体の生育を続けたところ、茎の伸長がおこらずT2種子の取得が不可能となった。次に、前駆体型isozyme A遺伝子を導入した形質転換体を作出し、T1種子をカナマイシン含有MS培地で生育させたところ,植物体は徐々にブリーチングし、葉が異形を示し、不稔など、ミミズ由来セリンプロテアーゼによる影響と考えられる変化が観察された。このことは、植物の生育に影響を及ぼさない器官や発現時期をコントロールすることにより、シロイヌナズナをはじめ植物にミミズ由来セリンプロテアーゼ遺伝子を導入して安定的にタンパク質を生産させ、バイオマスによる有機性廃棄物の分解に利用する可能性を示唆するものである。
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Bioscience, Biotechnology, Biochemistry 69
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