超臨界水や、温度・圧力が臨界点よりも低い高圧熱水(亜臨界水)は、常温常圧の水と比較してイオン積の増加、誘電率の減少、有機物の溶解度の増加等の現象が見られる。水のイオン積が増加すると、水素イオンと水酸イオンによる生物素材の加水分解が顕著となる。洗米排水や米ぬかスラリーなどのバイオマスを超臨界水あるいは亜臨界水で処理することによって、生体高分子を部分分解して機能性を付与した材料に変換する技術を構築することを目的とした。 高圧ポンプ、背圧調節弁などを組み合わせて、35MPaまでの高圧処理のできるバッチ式超臨界水処理システムを構築した。 試料として米ぬかスラリーを選び、180℃、35MPaで30分高圧熱水処理を施したところ、部分分解物として単糖およびオリゴ糖を得ることができた。250℃、35MPaで30分同様の処理を施したところ、分解がさらに進行してオリゴ糖がほとんど消失した。以上の結果から、水しか使わず高圧高温条件を活用することによって、オリゴ糖を多く含んだバイオマス部分分解物を得る技術が構築できる可能性が示された。ナノ構造材料の素材としてオリゴ糖を用いて、ナノ空間の形成条件および構造制御法について実験的に検討を進める予定である。
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