研究課題/領域番号 |
15580303
|
研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
松浦 史登 福山大学, 生命工学部, 教授 (10088445)
|
研究分担者 |
太田 雅也 福山大学, 生命工学部, 助教授 (00203802)
池口 陽子 福山大学, 生命工学部, 助手 (70389071)
玉井 正弘 広島県西部工業技術センター, 主任研究員
田村 幸吉 丸善製薬株式会社, 研究開発本部, グループリーダー
|
キーワード | 酵母 / バイオサーファクタント / 界面活性剤 / MEL / MML / 油資化性微生物 |
研究概要 |
1.糖脂質バイオサーファクタントの分子種と界面活性作用との相関 自然界からスクリーニングした真核微生物が生産する糖脂質バイオサーファクタントであるマンノシルエリスリトールリピッド(MEL)とマンノシルマンニトールリピッド(MML)をODSカラムを用いたHPLCにより、結合している脂肪酸の総炭素数、不飽和度、および脂肪酸の結合位置の違いに基づいた単一な分子種ごとに分離することに成功した。単離した各糖脂質の界面活性能をディヌイの表面張力計を用いて測定したところ、表面張力低下能においては、糖骨格構造と脂肪酸の鎖長との間に有意な差は認められず、いずれも32dyn/cm前後の値を示した。しかし、その臨界ミセル濃度に関しては、脂肪酸の鎖長との間に有意な差が認められ、MELタイプの糖脂質では、炭素数8と10の脂肪酸が結合した糖脂質の臨界ミセル濃度が、7.9x10^<-6>Mと最も低く、その他の脂肪酸が結合した糖脂質に比べ2〜10分の1の濃度であった。同様に、MMLタイプにおいても、炭素数6と10の脂肪酸が結合した糖脂質よりも炭素数6と12の脂肪酸が結合した糖脂質の方が、4分の1の濃度(2.0x10^<-5>M)でミセルを形成していることが示された。 2.新規糖脂質バイオサーファクタントの構造解析 スクリーニングされたTM-181株、603株、そして694株の生産する糖脂質をTLCおよびMALDI-TOF/MSで分析したところ、既存のMELやMMLよりもTLC上での移動度が高く、分子量の大きい(900〜1200)成分が存在することを見出した。これらの糖脂質をシリカゲルクロマトおよび調製用TLCを用いて単離し、それらの構造を組成分析、過ヨウ素酸酸化、質量分析、そしてNMRを用いて解析した。その結果、これら糖脂質の基本骨格構造は、既存のMELおよびMMLと同じであるが、その構造の還元末端エリスリトールあるいはマンニトール残基の1位に炭素数18の長鎖脂肪酸が結合した新規な構造であった。さらに、これら新規糖脂質成分の界面活性は、既存のMELおよびMMLと同程度の値を示した。
|