本年度は、プロテアソームなどの複合体の組成や翻訳後修飾を解析した。これまでにプロテアソームのどのサブユニットが翻訳後修飾をうけているか、ほぼ決定し、酵母20Sプロテアソームのα7サブユニットに関しては、C末端側に位置するセリン残基のリン酸化部位を決定した。これらの結果をふまえ、これらの翻訳後修飾が細胞の状態によって、どのように変動するかを解析した。酵母に熱ショックをあたえた後、プロテアソームを抗体カラムによって精製し、そのリン酸化の状態を2次元電気泳動とリン酸基特異的染色法を組み合わせて解析した。熱ショックを与えるとα7サブユニットが脱リン酸化されることが明らかになった。C末端にHisタグを導入したα7サブユニットを発現させた酵母細胞で同様の実験を行い、C末端に存在するリン酸化部位での脱リン酸化がおきているどうかを解析した。C末端ペプチドを単離して、質量分析装置で分析したところ、3ヶ所リン酸化されたペプチドの量がやや減少している結果を得た。この結果を、確認するために、熱ショックの温度や時間を変えて、リン酸化の変動をさらに解析しているところである。 ユビキチン・プロテアソーム系のその他の複合体については、酵母のCullinを含む複合体を単離することを試みた。Tandem Affinity Purification Tag(TAP法)を導入したタンパク質を酵母で発現させ、IgGカラム、Calmodulinカラムの2つのアフィニティを利用して、温和な条件で複合体の単離精製を行ったが、Cullinの発現量が低く、十分な量の複合体を単離できなかった。同様にユビキチン結合酵素をTAP法で精製を試みた。こちらは発現量がやや多く、複合体を単離できそうである。TAP法の条件検討を含め、複合体の単離を行っているところである。
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