研究概要 |
本年度は、プロテアソームと相互作用が報告されているいくつかのタンパク質に関して、それと相互作用するタンパク質をTAP法などを用いて精製、同定した。酵母のCullinを含む複合体をTandem Affinity Purification Tag(TAP法)を導入したタンパク質を酵母から単離することを試みていたが、IgGカラムによる濃縮が上手くいかず、タンパク質の発現が確認できなかった。TAP Tagの導入に問題があることがわかった。現在、別の菌株によってCullin様タンパク質の複合体の精製を試みている。プロテアソームサブユニットの転写制御因子であり、プロテアソームの構成成分としても同定されている酵母のRPN4と相互作用するタンパク質を単離、同定した。RPN4は、非常に短寿命のタンパク質であることが明らかにされており、実際、酵母から抽出しても、かなりの分解産物が観察された。そこで、分解シグナルとなっているN末端側を欠損させたタンパク質を酵母で発現させ、それと相互作用しているタンパク質をTAP法によって単離し、質量分析によって同定した。熱ショックタンパク質やいくつかの核酸結合タンパク質の他に、リボソームの多くのサブユニットが同定された。TAP-Tagだけを発現させた酵母やRPN4-TAPを発現していない酵母からは、これらのタンパク質は単離されないので、RPN4と相互作用している考えられる。この相互作用の生理的な意味は不明であるが、酵母細胞内のRPN4はリボソームと相互作用していると考えられる。多くのプロテアソームサブユニットと相互作用することが報告されているBud32に関しても、TAP法で相互作用するタンパク質を単離し、同定した。Bud32複合体は、Kae1,Cgi121,Gon7を含む4つのタンパク質から出来ていることが明らかになった。このタンパク質とプロテアソームとの相互作用は、それほど強くないことがわかった。
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