研究概要 |
細胞内の主要なタンパク質分解経路であるユビキチン-プロテアソーム系は、細胞周期の制御や植物の自家不和合性の発現など、様々な生理機能の調節に関わっている。本研究では、ユビキチン-プロテアソーム系に関係する新たな複合体を単離して形成制御機構を解析することを目的とした。 イネで発見したプロテアソーム19S調節因子サブユニットの重複遺伝子産物の発現量をイネの様々な組織で調べ、組織による19S調節因子のサブユニット構成が異なることを明らかにした。また、酵母20Sプロテアソームのα7サブユニットに関しては、C末端側に位置するセリン残基のリン酸化部位を決定した。プロテアソームのどのサブユニットが翻訳後修飾をうけているか、ほぼ決定した。プロテアソームサブユニットの転写制御因子であり、プロテアソームの構成成分としても同定されている酵母のRPN4と相互作用するタンパク質を単離、同定した。多くのプロテアソームサブユニットと相互作用することが報告されているBud32に関しても、TAP法で相互作用するタンパク質を単離し同定した。Bud32複合体は、Kae1,Cgi121,Gon7を含む4つのタンパク質から出来ていることが明らかになった。これらのタンパク質はいずれも細胞質にも存在するが、核に局在することが明らかにした。Bud32の欠失二倍体株はこれまでに報告されているように、Bipolar buddingではなくランダムな出芽が起こったが、その他のタンパク質の欠失株では、Bipolar buddingが観察された。一倍体では、すべての欠失株でほぼ正常なAxial buddingが観察された。二倍体株からも、TAP法でBud32複合体の単離を試みた。構成タンパク質は、電気泳動では一倍体とほぼ同じような構成を示した。二倍体でもBud32は、同じ複合体を形成し、その機能を発揮すると考えられた。
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