研究概要 |
(1)L-Xylose由来のヘミアセタールをO-tert-butyldiphenylsilylhydroxylamineで処理し,次いで生じた水酸基をメシル化してmesyloxy-O-tert-butyldiphenylsilyloximeへ導き,これをBu_4N^+(Ph_3SiF_2)で処理するとオキシムの窒素原子からの環化反応が進行し,光学活性な環状ニトロンが得られた.このニトロンへの求核付加反応を用いることにより,ピロリジンアルカロイド,(-)-codonopsinineを合成した.また,1,3-双極子環化付加反応を用いることにより,ピロリジジンアルカロイド,(+)-hyacinthacine A_1及びA_2を合成した. (2)光学活性な環状ニトロン(5S)-5,6-dihydro-5-phenyl-2H-oxazin-2-one N-oxideと2-位置換アリルアルコール類とをMgBr_2・OEt_2存在下で反応させるとアルコール部分がexo型で環化付加反応を起こし,高い立体選択性で環化付加体を与えることを見出した.次いで,環化付加体から天然甘味物質(-)-monatinの効率の良い合成を行った. (3)(-)-Funebrine,(-)-funebral,及びこれらを構成しているアミノラクトン(3S,4S,5R)-3,4-dihydro-3-amino-4,5-dimethylfuran-2[5H]-oneはQuararibea funebrisの花から単離構造決定された化合物である.窒素原子上にL-gulose由来の不斉補助基を有するα-メトキシカルボニルニトロンと(E)-crotylalcoholとのエステル交換,それに続くニトロンの分子内環化付加反応を用いて,先述のアミノラクトンの3つの連続する不斉炭素を一挙に構築し,これを合成した.次いで,このラクトンからピロール環を構築し,側鎖を整えて(-)-funebrine及び(-)-funebralの最初の全合成を達成した.
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