研究課題/領域番号 |
15590004
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
細井 信造 九州保健福祉大学, 薬学部, 助教授 (60209236)
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研究分担者 |
木内 文之 国立医薬品食品衛生研究所, 室長 (60161402)
太田 富久 金沢大学, 薬学部, 教授 (50108560)
佐久嶋 明世 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (40094833)
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キーワード | 円二色性 / 不斉 / 絶対配置 / キラル / 分子力場計算 / ビアリール / 天然物 / 2級アルコール |
研究概要 |
アキラルなビアリール化合物をキラル2級アルコールに結合させたとき観測される誘起CDを利用した、単一官能基しか持たずCD励起子カイラリティー法の適用が制限されていた化合物に適用可能な新しい絶対配置決定法の開発について検討した。まず新規ビナフチル型誘導体化試薬をデザインし、その簡便な合成法を確立した。実際、各種キラルアルコールと上記試薬を反応させたところ、1工程で何れも良好な収率で対応する誘導体を与えた。得られた誘導体のCDスペクトルは何れも期待した分裂型コットン効果を示し、更に励起子カイラリティーの符号と分子力場計算により求めた最安定配座におけるナフタレン発色団の長軸方向の電気遷移モーメント間のねじれの方向との間によい相関が認められた。即ち、正の励起子カイラリティーを示すものは時計回りのねじれとなり、負の場合は反時計回りとなることが明らかとなった。この事実は、申請者らが最近考案した絶対配置決定則を用いなくとも決定できることを示している。即ち、両鏡像体を誘導体としたものの分子力場計算を行い、ついで問題の基質を誘導体に導きCDスペクトルを測定する。もし正の励起子カイラリティーを示し、R体の誘導体が時計回りのねじれならば求める絶対配置はR配置ということになる。そこで実際に二、三の天然物に適用したところ、本法の有用性を示す結果が得られた。一例をあげると、代表的なインドールアルカロイドであるyohimbineに適用したところ、得られた誘導体のCDスペクトルは予想通り分裂型CDを示しその励起子カイラリティーの符号は正であった。またC17位がS配置のものおよびその鏡像体について分子力場計算を行ったところ、時計回り(+)および反時計回り( )のねじれを持つジアステレオマーの存在比はそれぞれ(+)/( )=56/44、44/56であった。よってyohimbineのC17位の絶対配置はSということになる。
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