研究概要 |
Z選択的タンデム型還元-オレフィン化反応を基盤とする新規ペプチドミメティクス合成法の開発を目的とし、重要合成中間体である2-Z-アミノ-1-フルオロエチルホスホン酸ジエチルの合成を検討した。すなわち、触媒量の1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)存在下、Z保護アミノアルデヒドと亜リン酸ジエチルの反応により2-Z-アミノ-1-ヒドロキシエチルホスホン酸ジエチルを合成した。次いで、2-Z-アミノ-1-ヒドロキシエチルホスホン酸ジエチルのヒドロキシル基からフッ素原子への官能基変換を種々の求核的フッ素化剤を用いて検討した。その結果、トリフルオロメタンスルホニル化あるいは過フッ化-1-ブタンスルホニル化を経由するトリエチルアミン三フッ化水素酸塩との反応により、目的とする2-Z-アミノ-1-フルオロエチルホスホン酸ジエチルが得られた。しかしながら、様々な条件検討を行ったにもかかわらずフッ素化反応における収率の向上は困難であり、本合成経路によるペプチドミメティクス合成は断念せざるを得なくなった。 そこで、フッ素化反応を回避するため入手容易な市販の含フッ素HWE試薬(2-フルオロ-2-ジエチルホスホノ酢酸エチル)を出発原料とする別経路の新規合成法開発に着手した。その結果、鍵反応となる(1)2-アシル-2-フルオロ-2-ジエチルホスホノ酢酸エチルの還元-オレフィン化反応、ならびに(2)得られたフルオロオレフィンに含まれる2ヵ所のエステル部位の化学選択加水分解反応は、いずれも高い選択性で目的化合物を与えることが明らかになった。現在、本合成経路による各種フルオロオレフィンアミドイソステア(ジペプチドミメティクス)の合成を詳細に検討中である。
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