研究課題
平成16年度に、6-benzylamino-4,5-epoxy-2-hexenoate 1の分子内Friedel-Crafts反応を検討したところ、ルイス酸の種類によって反応挙動が全く異なることを発見した。すなわち、TMSOTfにより1を処理すると、7-エンド環化が進行して目的の2-benzazepine誘導体2を与え、BF_3による処理では芳香環の転位によりアミナール化合物3が生成した。本年度はこの知見を参考に、以下の2点について検討した。1.ベンゼンとシクロヘキサンの縮環構造にアミノ基とビニルエポキシドを基本とする側鎖を導入した基質を合成し、そのBF_3による反応を検討した。その結果、反応中間体として一旦生成した三環性スピロ型フェノニウムカチオンの環拡大反応が生起し、10員環アミナールが生成した。この環拡大反応は窒素ローンペアの電子供与とスピロ型フェノニウムカチオンの再芳香化がドライビングフォースとなるグローブ開裂に基づいている。2.TMSOTfによる1の7-endo選択的Friedel-Crafts環化により得られた2-benzazepine誘導体2からヒガンバナ科アルカロイドの1種であるMontanineの合成を目指して、以下の検討を行った。2のオゾン分解、続くオゾニドの還元的処理によりジオール誘導体を得、一方の水酸基をベンジル保護した後、渡環反応をおこなうことにより2,5-methanohydro-2-benzazepine誘導体を合成した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
Tetrahedron 62
ページ: 716-725