研究概要 |
1、採集試料の同定:シロツブ、ナンテンカズラ、ハスノミカズラの学名について 沖縄県西表島において採集したナンテンカズラの成分研究をまとめる途上において、その学名Caesalpinia crista L.が同属種シロツブの異名として文献に見られるので、フィリピン国立博物館において実際の標本を検分し、学名の整理を試みた。シロツブをC.crista L.としたものは誤同定によるものが大半であり、一部、異物同名(homonym)があった。その他にも学名の混乱は散見され、それによると、シロツブの現学名C.bonducは、ハスノミカズラの異名にもあるので、C.bonduc (L.) Roxb.emend.Dandy et Exellとし、ハスノミカズラはC.bonduc Roxb., non L.とすべきであることがわかった。Caesalpinia属植物は花、実のない場合、標本だけの同定は危険であることがわかった。 2、OK1588の抗酵母作用成分について ツバキ科OK1588の幹をメタノール抽出し、HP-20樹脂およびODSによる分画を経て、最終的にHPLC(ODS)により精製したところ、新規成分としてオレアナン系アシルサポニンを活性成分として得た。本研究において、以前、ハクウンボク果皮からアシルサポニンを得ているが、このサポニンはアシル基が脂肪酸である点が異なり、またアシル基を除去すると活性が喪失する点では共通する。 3、ドクウツギの成分について ドクウツギ果実を果肉と種子に分け、種子を粉砕し、アセトンにて抽出した。抽出物をカラムクロマトグラフィにて分離、精製し、coriarinと命名した新規成分を得、その構造は各種分光データの解析によって決定した。coriarinは微量であったが、比較的多量に得られたtutinをTHF中NaHで処理して化学変換することに成功した。
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