1、沖縄県西表島における植物試料の収集 沖縄県西表島において、高等植物試料200種以上を採集した。試料は部位ごとに分別、またさく葉標本を作製し、作業は琉球大学熱帯生物圏研究センター西表実験所にて行った。 2、フィリピン国立植物標本館における植物試料の固定 日本国内における資料不足により、固定の困難な植物試料はフィリピン国立植物標本館において海外共同研究者であるドミンゴ・M・マドウリド博士と共同で鑑定作業を行った。その結果、採集試料の中にキョウチクトウ科ゴムカズラなどの希少植物が含まれているごとがわかった。特にゴムカズラは、当初、固料のサカキカズラと誤認していた。そのほか、マメ科ジャケツイバラ属のシロツブ、ナンテンカズラ、ハスノミカズラの学名上の混乱があることが明らかとなり、整理した。 3、植物試料の抗菌抗かび活性の評価 これまでに構築した植物エキスライブラリに南西諸島で採集した植物試料を加え、2000サンプルについて抗菌抗かび活性試験を行った。その結果、グラム陽性菌Staphylococcus aureus、グラム陰性菌Escberichia coli、酵母菌Saccbaromyces arevisiae、かびAspergillus nigerに対してそれぞれ124、4、28、24種のサンプルが有意の陽性を示した。 4、抗酵母活性物質の単離、構造決定 エゴノキ料ハクウンボク果皮、ツバキ料OK1588幹より新規オレアナン系アシルサポュンを抗酵母活性成分として単離精製し、その構造を明らかにすることができた。 5、植物化学的に興味ある植物より新規成分の単離、構造決定 抗菌活性を指標とした抗菌シード物質の単離精製のほか、成分情報の乏しい分類群の植物試料(ハクウンボク樹皮、ナンテンカズラ葉、ドクウツギ果実)について成分研究を行い、植物化学的に興味ある新規成分を得、構造を明らかにした。
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