研究概要 |
前年度までの本課題研究において環状N,O-アセタールの橋頭位水素化を経て合成法が確立している4,4-ビス[(ベンジルオキシ)メチル)]-2-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-8-オールを用いたE環(11員環)構築の検討を行った。初めに閉環メタセシス(RCM)反応による11員環閉環を検討した。4,4-ビス[(ベンジルオキシ)メチル)]-2-アザビシクロ-[3.3.1]ノナン-8-オールより2工程で4,4-ビス[(ベンジルオキシ)メチル]-2-(ヘキセ-5-エノイル)-2-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-8-オンとし8位へWittig反応により4炭素増炭を試みたが不成功に終わった。原因として2位ヘキセノイル基による立体障害が考えられたので、2位置換基をホルミルとした4,4-ビス[(ベンジルオキシ)メチル]-8-(ブテ-3-ニリデン)-2-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-2-カルバルデヒドを合成し、始めに8位への側鎖導入を行って4,4-ビス[(ベンジルオキシ)メチル]-8-ブテ-3-ニリデン-2-アザビシクロ[3.3.1]ノナンへ導いたのちに2位にヘキセノイル基を導入し、4,4-ビス[(ベンジルオキシ)メチル]-8-(ブテ-3-ニリデン)-2-(ヘキセ-5-ノイル)-2-アザビシクロ[3.3.1]ノナンを合成した。4,4-ビス[(ベンジルオキシ)メチル]-8-(ブテ-3-ニリデン)-2-(ヘキセ-5-ノイル)-2-アザビシクロ[3.3.1]ノナンに対し第一世代Grubbs試薬を作用させRCMにより11員環構築を試みたが、この場合原料を回収し、第二世代Grubbs試薬を用いた場合は複雑な混合物を与え閉環体を確認することができなかった。これらの結果から、末端オレフィンをベンジリデン化することにより基質のチューニングを行い第二世代試薬を用いたRCM反応を行う必要性が示唆された。
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