研究課題
基盤研究(C)
生体内リン酸化化合物はエネルギー貯蔵や細胞内シグナル伝達に関与し、生命維持において、極めて基本的で重要な働きを担っている。ホスホナート誘導体は、これらリン酸誘導体のアナログとして、また、カルボン酸や、エステル加水分解中間体のアナログとして、生体反応の拮抗薬や作動薬として機能するため、そのいくつかは、既に医薬品として、利用されている。一方、有機合成化学の見地からホスホナート誘導体は、オレフィン形成反応として汎用されるHorner-wadsworth-Emmons(HWE)反応の基質として、また、遷移金属触媒反応で用いられる、ホスフィン配位子の合成中間体などとして有用である。このように、ホスホナートを基盤とする研究開発には、有機合成化学と生物化学の両面での、または、この二者が融合した形での展開が期待できる。本研究で私は、今までに蓄積したボスホナートを基盤とする有機合成技術を展開し、有用生理活性化合物の創製に結びつけることを目的としている。本研究では免疫抑制剤のリン酸化活性体の開発に重点を置き研究を行った。免疫抑制剤FTY-720は生体内でその水酸基がリン酸化されたのち、スフィンゴシン1リン酸受容体に結合することにより、その活性を発現することが知られている。したがって、リン酸化FTY-720はその非リン酸化体に比べて、活性・選択性の向上が期待される。しかしながら、リン酸化FTY-720はそのまま投与すると、生体内で脱リン酸化を受けてしまうと考えられる。そこで本研究では安定活性体として、環状リン酸化FTY-720アナログを設計し合成した。本化合物はモノリン酸化体に比べて加水分解を受けにくいのみならず、不斉点が存在しないため、医薬品の候補化合物として有利である。さらに、ボスホン酸誘導体の合成に成功した。現在、これらの新規リン酸化FTY-720の免疫抑制活性について評価を行っている。
すべて 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (24件) 図書 (2件)
Natural Medicines 59・1
ページ: 49-51
Journal of Agricultural Food Chemistry 53
ページ: 1955-1959
Biol. Pharm. Bull. 28・5
ページ: 849-853
J. Am. Chem. Soc. 127・35
ページ: 12282-12290
Natural Medicines 59(1)
Biol.Pharm.Bull. 28(5)
J.Am.Chem.Soc. 127(35)
Internaational Journal of Antimicrobial Agents 22
ページ: 1709-1716
Bioorganic and Medicinal Chemistry 12
ページ: 4351-4360
International Journal of Antimicrobial Agents 22
Tetrahedron Letters 44
ページ: 2323-2326
Natural Medicines 57・1
ページ: 31-33
Biophysical Journal 85
ページ: 267-273
Biochimica. Biophysica. Acta 1612
ページ: 117-121
Chemical and Pharmaceutical Bulletin 51・12
ページ: 1448-1450
膜(MEMBRANE). 28・2
ページ: 61-69
Natural Medicines 57(1)
Biochimica.Biophysica.Acta 1612
Chemical and Pharmaceutical Bulletin 51(12)
MEMBRANE 28(2)