研究概要 |
1)局所麻酔剤リドカイン及び各種オリゴペプチド類によるインスリン受容体(IR)の自己リン酸化抑制作用 40mMのリドカインは20%以下まで、IRのリン酸化を抑制した。4mMのオリゴペプチドKIFMKおよびKIYEKは20%以下にリン酸化を抑制した。DIYETおよびKIQMKには、KIFMKおよびKIYEK程のリン酸化抑制効果は見られなかった。 2)リドカイン及び各種オリゴペプチドによるリン酸化IRに対する脱リン酸化作用 40mMのリドカインはIRを脱リン酸化し、添加後10分間でリン酸化の程度を35%にまで減少させた。4mMのKIYEKおよびDIYETはIRを脱リン酸化し、添加後10分間でIRのリン酸化を30%以下とした。KIFMKは脱リン酸化作用を全く示さなかった。 3)蛍光スペクトルによるIRの活性化ループ部位のペプチド(AL)とリドカイン及びオリゴペプチドとの相互作用 活性化IRに対して、脱リン酸化作用を示したリドカイン,KIYEK及びDIYETは励起波長280nm,蛍光波長303nmにおけるALの蛍光強度を減じた。一方、脱リン酸化作用を示さなかった、KIFMKは蛍光強度を増強した。コントロールとした、LPFFDは蛍光強度に影響を与えなかった。 4)表面プラズモン共鳴(SPR)実験法を用いたリドカイン及びオリゴペプチドによるインスリン受容体(IR)の脱リン酸化作用 固定化するリガンドおよび流路系に流す、アナライトの組み合わせを種々変えてSPR実験を行った結果、SPR法はIRのリン酸化解析には適さないと結論した。 5)オリゴペプチドによる上皮成長因子受容体(EGFR)のリン酸化抑制作用 EGFRのリン酸化部位のアミノ酸配列を持つオリゴペプチドによるEGFRのリン酸化抑制効果を検討した。Y1148及びY1173部位のアミノ酸配列を持つオリゴペプチドがリン酸化抑制に最も効果があった。
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