研究概要 |
平成15年度は標本再抽出法による多重比較法のプログラムを作成した。そのアルゴリズムは以下の様である。 1.全ての帰無仮説が成立する条件でB個のResampling標本を復元抽出により作成する。 2.検証するα_kの初期値となるα_0を設定する。 3.各Resampling標本においてα_kを使用して、解析に使用する検定手法を実際に行う。そして複数回の検定において一つでも帰無仮説の棄却が発生したならば、Count_k=Count_k+1とする。 4.Count_kのチェックを行う。Count_k<α_0×Bならば、α_<k+1>=α_k+δとして3.に戻る。 Count_k【greater than or equal】α_0×Bならば、α'=α_k-δ×(Count_k-α_0×B)/(Count_k-Count_<k-1>)とする。 5.1から4をN回繰り返して、(j=1,...,N)を求め、その平均値を求め、それを調整済み有意水準α^*とする。 6.α^*を使用して観察標本の解析を行う。 以上のアルゴリズムにより、Linux上でFortran言語によりプログラムを作成した。 いくつかの人工データを作成し、このプログラムの有効性を検証した結果、妥当な結果が得られた。また、Westfall(1993)の親マウスへの薬剤投与量と子マウスの体重の関連を調査した多変量データに適用した。Bonferroni型の汎用的多重比較法であるBonferroni法とSidak法では、3段階の投与群中、1段階までしか有意差が検出されなかったが、作成したプログラムでは、3段階の全てで有意差が検出された。これは投与量の段階的変化を踏まえた多重比較法であるWilliams法と同様の結果であった。したがって、新たに作成したプログラムでは汎用性を持ちつつも、汎用性の無い特化した多重比較法と同程度の検出力が見込まれる。
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