研究概要 |
合成したポリフェノールデンドリマー(PD)と測定対象物質との非共有結合形成に基づく新たな化学発酵測定法を開発すべく第四級アンモニウム化合物であるアセチルコリン(Ach)を測定対象のモデル化合物として、そのN-メチル基とPDとのCH-π相互作用を^1H-NMRにより解析した。その結果、AchのN-メチル基は0.02-0.08ppmの範囲で高磁場シフトした。Job'sプロットからモル分率0.3で錯体濃度が極大値を取った。このことは、1:1錯体のみならず複数の錯体の存在を示唆する。更にAchのPD化学発光への効果を評価した結果、検討した1-100mM Achの範囲でPD化学発光の増感が見られた。50mM AchはPD化学発光強度を2.4倍増加させた。本研究結果をAnalytical Sciencesに投稿予定である。 蛍光性デンドリマーの開発を目的として2-Hydroxyquinoxaline(HQ)、4-Hydroxycoumarin(HC)及び9-(Hydroxymethyl)anthracene(HA)をコア分子として、その水酸基の3,4,5-Tribenzyloxybenzoyl及び3,4,5-Trihydroxybenzoyl誘導体を合成しその蛍光強度を比較測定した。その結果、3,4,5-Tribenzyloxybenzoyl基がHQ及びHAの蛍光強度を1.5及び1.3倍増加したのに対し、HCの蛍光強度は0.5倍となり減少した。また、3,4,5-Trihydroxybenzoyl基がHQの蛍光強度を3.1倍増加したのに対し、HC及びHAの蛍光強度は0.7及び0.2倍となり減少した。本研究結果は第41回化学関連支部合同九州大会(要旨集、p.39)にて報告した。
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