研究概要 |
・食欲抑制作用を有するフェンフルラミン(Fen)、その代謝物のノルフェンフルラミン(Norf)およびフェンテルミン(Phen)の実用的な分析法を開発した。蛍光誘導体化試薬として、4-(4,5-diphenyl-1H-imidazol-2-yl)benzoyl chlorideを用いる非常に高感度なHPLC法を開発した。各化合物の検出下限はS/N=3の場合、注入量(20μL)当たり、23fmol以下であった。日内、日間の精度も良好であり、RSDで10%以下であった。 ・ラット血液および脳の透析液の分析に適用した。FenまたはPhenを単独あるいは併用で投与後、人工脊髄液を1μL/minで送液しながら、脳前頭葉皮質あるいは頚静脈に挿入したプローブから透析液を採取した。両透析液において、Phen(0.75-298ng/mL),Fen(2.3-461ng/mL)およびNorf(2.0-407ng/mL)で検量線は良好な直線となった。 本法は僅か20μLの微量試料で分析できる。また、抽出が不要で、透析液を塩基性(pH9)条件下、直接誘導体化する。本HPLC条件下では、各誘導体は30min以内に分離が可能である。Phenの単独投与に比べ、Fenを併用した場合には脳中のPhen濃度を増強し、AUCで3.4倍の増加が見られた。血液では2.2-2.6倍のAUC増加であった。一方、Fen濃度に対して、Phenの投与は影響を与えなかった。このことは、Fenとの併用により、Phenによる脳内ドパミンの放出を増加させ、食欲抑制とダイエット効果の増強へと繋がって行くことを示唆している。本法はFen類の薬物動態学的研究に有用である。 ・N-ニトロソフェンフルラミン(N-Fen)はFenのプロドラッグとも考えることができる。N-Fenをラットに投与後、微量毛髪中のFenやNorfを定量することができた。
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