研究課題
小胞型グルタミン酸トランスポーター・VGLUT2の構造・機能を明らかにするために、以下の項目の研究を行った。(1)VGLUT2の基質認識・エネルギー共役に関与するアミノ酸残基の同定:VGLUT2には他の輸送体にはないversatility(多芸性)という特性がある。すなわち、シナプス小胞においては生理的条件下での基質はグルタミン酸でありプロトンとの逆輸送活性を示すが、カエル卵にcDNAを注入し原形質膜上に発現した場合はリン酸を基質とし、Na^+との共輸送活性を示す。実際、VGLUT2はNa^+依存性無機リン酸輸送体と似た一次構造を持っている。この輸送特性を理解することが、タンパクとしてのVGLUT2の理解に重要である。今年度の研究では、VGLUT2の推定膜貫通領域に存在する極性アミノ酸残基の点変異体を作成し、そのグルタミン酸輸送活性、無機リン酸輸送活性に影響を与える点変異体をいくつか得た。現在その活性について詳細な検討を行っている。(2)VGLUT2のトポロジー解析:VGLUT2のカルボキシル末端、アミノ末端、及びループ領域に対する特異抗体を作成した。これらの抗体とシナプス小胞や再構成リポソームを用いてVGLUT2のトポロジーを明らかにした。具体的には、VGLUT2は12回膜貫通型の膜タンパクとして考えられ、N末端及びC末端を細胞質側に突出した形で存在していることを明らかにしている。これらの新たに明らかになった事実は、今後VGLUT2の構造と機能を明らかにする上で非常に有益な情報である。また、現在、既に構築済みの、少量・多種類の輸送体を組み込んだリポソームを用いた再構成実験を行っており、VGLUT2の構造と機能についてより詳細な情報が期待される。
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