研究課題
基盤研究(C)
代表的循環器疾患である血栓症の発症機構に血小板が深く関わっている。本疾患の予防・治療面から、血小板活性化機構と細胞接着分子の細胞表面への発現機構の研究が進められ、その成果としてCa^<2+>、蛋白リン酸化酵素が関わる一連の細胞内情報伝達機構が明らかにされた。しかしながら血栓形成の初期に見られる刺激を受け凝集した血小板を解離させ、血栓形成の抑制作用に繋がる医薬品は未だ開発されていない。血小板脱凝集の機構解明は新規な作用点を持つ抗血栓薬の開発に繋がりその研究成果が期待される。申請者は、PAF-受容体複合体からPAF分子を解離させると血小板膜上のPセレクチン発現量が低下し脱凝集反応が惹起されること、この脱凝集反応に細胞内cGMPレベルを上昇させるシグナル伝達系が機能していることを明らかにした。ヒト巨核球mRNAから調製したcDNAを用いてRACE法によるクローニングを進め、血小板PAF-受容体がこれまで報告されている白血球型と同一であり、白血球型PAF-受容体遺伝子ノックアウトマウスの血小板がPAF刺激に反応しないことから、血小板PAF-受容体が単一分子であることを明らかにした。またPAF-受容体複合体解離時に活性化されるグアニルシクラーゼは膜結合酵素であり、既知の可溶性酵素とは異なる性質を有する酵素であることを認めている。さらにPAF刺激による血小板活性化時のシグナル伝達系とは異なり、Rho kinase阻害剤Y27632やPI3K阻害剤LY294002によりPAFアンタゴニストY24180による脱凝集反応がより強力に惹起されることから、血小板PAF受容体が二方向性の伝達経路、即ちPAF分子が結合し細胞が活性化される経路とPAF-受容体複合体からPAF分子が解離した際に機能するシグナル伝達経路の二方向性の細胞内情報伝達経路により血小板の機能が制御されていることを明らかにすることができた。
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