研究概要 |
平成16年度においては、ラット大動脈平滑筋細胞に対する脂質メディエーター受容体活性薬スフィンゴシン1燐酸及びリゾフォスファチジン酸の効果について検討し以下の結果を得た。なおこの内容は平成17年度日本平滑筋学会シンポジウムにおいて発表予定である。また現在発表論文を執筆中である。 1.収縮型の血管平滑筋細胞にはスフィンゴシン1燐酸およびリゾフォスファチジン酸ともに作用を示さないこと。 2.増殖型の血管平滑筋にフェノタイプが変化した後にはスフィンゴシン1燐酸およびリゾフォスファチジン酸とも細胞内Ca濃度の上昇を引き起こすこと。 3.血管平滑筋のフェノタイプ変化に伴って、脂質メディエーター受容体の一種であるendothelial differential gene-3(Edg3)の発現が増加すること。 などを明らかにした。スフィンゴシン1燐酸は血管内皮細胞において強力な分化・増殖因子として作用することが知られている。本研究は、スフィンゴシン1燐酸が増殖型の血管平滑筋フェノタイプでは、作用を示すことを初めて明確に示した極めて重要な報告である。 さらに、英国のBeech教授と平滑筋細胞の非選択性カチオンチャネルについて総説を共同執筆した(Non-selective cationic channels of smooth muscle and the mammalian homologues of Drosophila TRP.J.Physiol.,559,685-706,2004)。
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