研究課題/領域番号 |
15590074
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研究機関 | 北陸大学 |
研究代表者 |
古林 伸二郎 北陸大学, 薬学部, 教授 (10186744)
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研究分担者 |
篠原 治道 金沢医科大学, 医学部, 教授 (20135007)
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キーワード | 培養脈絡膜 / N^ε-(Carboxymethyl)lysine(CML) / 加齢関連疾患 / 血管内皮前駆細胞 / 血管新生 / Nifedipine / beta-eudesmol / 抗血管新生作用 |
研究概要 |
加齢ラットや糖尿病ラットの培養脈絡膜はフィブリンゲル中で新生血管様構造を異常に増生した。血管様構造物は電子顕微鏡下で赤血球が通過できない位の狭い管腔を有した。血管様構造物から単離した細胞はCD34^+とCD34^-細胞から構成され、CD34^+細胞はコラーゲンゲル上で管腔を示さず、むしろ線維芽細胞様の特徴を有したので、血管内皮前駆細胞である可能性を考えた。主要なメイラード反応後期生産物であるN^ε-(Carboxymethyl)lysine (CML)が血管様構造物の形態に影響せず、その数とCD34^+細胞の数を特異的に増加させた。加齢や糖尿病ラットの血管新生異常は内因性CMLによって誘発され、CMLが培養脈絡膜からVEGFやTNF-α、PDGF-Bを遊離して血管新生を促進する事をこれら因子の抗体を用いて見出した。PDGF-Bの遊離が培養0-2日間で最大となりその後低下したのに対し、TNF-αの遊離は培養0-2日間から有意に増加し、以後経日的に増大した。VEGFの遊離はTNF-αより遅く開始したが、その経日変化は血管新生変化と平行した。以上の結果から、CMLがペリサイトの減少に伴いPDGF-Bの遊離を低下させ、他方では血管内皮前駆細胞に作用してTNF-αとVEGFの順に生成と遊離を促進して血管新生を亢進する作業仮説を立てた。 Nifedipineが内在性CMLやTNF-αによる培養脈絡膜組織の血管新生作用を抑制した事から、TNF-αの作用機序にL型電位依存性Caチャネルの開口が関与すると示唆できた。また、漢方薬蒼朮の成分β-eudesmolが慢性炎症における血管新生をhydrocortisoneより強力に抑制し、その作用機序はVEGFの血管新生作用を介在するExtracellular signal-regulated kinase (ERK) 1/2の抑制作用で説明できた。
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