研究課題
糖鎖マイクロアレイの改良と糖鎖ライブラリーを用いた生理活性糖鎖とタンパク質の検索に向けての研究を行った。コンドロイチン硫酸で、イズロン酸をもちヘパラン硫酸(HS)に類似するデルマタン硫酸(DS)に注目した。コンドロイチナーゼACII消化によって得たオリゴ糖を調製し、ADHPに結合させてネオグライコリピド(NGL)化し、2-merから12-merまでの糖鎖断片を網羅した糖鎖マイクロアレイを作成した。糖鎖・タンパク質間の相互作用を調べるために、DS鎖に強く結合すると報告されているHGFとFGF-7、ヘパリンと同様にDS鎖にも結合して生理活性をもつHeparin cofactor IIなどを取り上げた。ADHP化NGLのもつ疎水性からHGFはNGLに非特異的に結合したが、卵白アルブミンをBlockerとして有用であることを認めた。この条件下で、HGFはDS鎖に強く結合し、結合する糖鎖の最小は8-merであった。また、FGF-7は生理的イオン強度の下であってもDS鎖の8-mer以上に結合することを認めた。また、RANTESは生理的イオン強度の下でコンドロイチン硫酸の区別なく糖鎖の長さに依存した結合を示した。従って、RANTESの結合はコンドロイチン硫酸鎖中の硫酸基とカルボキシル基への静電的な相互作用によるものと考えられた。一方、イズロン酸のC2が硫酸化したDS糖鎖に結合するとされるHCIIではNaCl濃度が0.35MであってもDS鎖10-mer以上への結合を観察した。以上の結果から、糖鎖マイクロアレイは1pmolの糖鎖であっても細胞増殖因子やサイトカイン、ケモカインなどの結合する糖鎖を検出することが可能であることを示した。特に、FGF-7では細胞増殖を活性化させるDS鎖(>10-mer)の結果(Taylorら,2005)とよく一致するものであった。
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Glycobiology Glycobiology, Advance Access published on December 29,2004 ; doi : 10.1093/glycob/cwi036(2004) 15
ページ: doi:10.1093/glycob/cwi036
