研究概要 |
スギ花粉を抗原としたモルモット・アレルギー性鼻炎モデルを用い,1.鼻過敏症の発症におけるキニン類の関与について,ならびに2.鼻過敏症の獲得が抗原によって発症する鼻炎の発現にいかなる影響を及ぼすか,の2点について検討した。 1.鼻過敏症の発症におけるキニン類の関与について (1)Bradykinin B_1受容体拮抗薬およびB_2受容体拮抗薬の抗原惹起前の静脈内投与は,いずれも惹起2日後のleukotriene D_4に対する鼻過敏症の発症を明らかに抑制した。 (2)Bradykinin B_1受容体作動薬を非感作モルモットに点鼻しても何ら反応は発現しなかったが,感作-惹起モルモットに点鼻すると,点鼻4時間〜2日後にleukotriene D_4に対する鼻過敏症が明らかに発症した。 (3)Bradykinin B_2受容体作動薬は非感作および感作-惹起モルモットのいずれに点鼻しても,点鼻4時間〜2日後にleukotriene D_4に対する鼻過敏症を誘起した。 2.鼻過敏症の獲得が抗原によって発症する鼻炎の発現にいかなる影響を及ぼすか (1)鼻過敏症を獲得した反応惹起2日後に次の反応惹起を行うと,過敏症が消失した7日後に惹起した場合と比較して,明らかなくしゃみ回数の増加ならびに2相性の鼻閉の程度の増強が認められた。 (2)上記のように増強したくしゃみおよび鼻閉の発現においては,7日後に惹起した場合の反応に比較して,histamineおよびcysteinyl leukotrienesの関与の程度は顕著に増加した。 以上の成績より,1.鼻過敏症の発症にはキニン類が大きく関与すること,ならびに2.鼻過敏症の存在下では,抗原による鼻炎症状が増悪するとともに関与するmediatorsに変化が生じることが示唆された。
|