研究課題/領域番号 |
15590081
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
藤本 貞毅 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (80090182)
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研究分担者 |
長井 克仁 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (00351271)
長澤 一樹 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (30228001)
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キーワード | アルミニウム / 血液脳関門 / 神経細胞 / 神経変性 / 脳 / 輸送担体 / 酸化ストレス / Glutamate / Cystine交換輸送担体 |
研究概要 |
アルミニウム(Al)は多量に土壌中に分布するため、我々は、微量ながら、飲料水や野菜など多くの食品から日常的にAlを摂取している。Alに神経毒性があることは一般に認められている事実である。すなわち、Alは神経細胞に対して酸化ストレスを付与することにより細胞死を引き起こすことから、神経変性疾患の発症との関連が指摘されている。Alの脳内における主要分子型であるAl citrateの血液脳関門(BBB)透過は厳密に制御されており、その機構の異常や破綻は脳内へのAl citrateの移行、そして、蓄積に繋がると考えられるが、その実体は不明である。申請者らは今年度、ラット不死化脳毛細血管内皮細胞(RBEC1)をモデル細胞として用い、Al citrateのBBB輸送特性について調べ、次の結果を得た。 RBEC1によるAl citrateの取り込みは、温度及び濃度依存的であり、その大部分がトランスポータを介したものであることが示唆された。そこで、その駆動力について検討したところ、Al citrate取り込みは細胞内ATP、内向きproton及びsodium勾配に非依存的であることが分かった。次に基質特異性に関する実験の結果、種々の有機アニオン化合物がAl citrateの取り込みを阻害し、中でも、glutamate/cystine交換輸送体(system Xc-)の基質は、その取り込みに対するtrans-stimulation効果を示した。また、RT-PCR法によりsystem Xc-の発現を調べたところ、その構成分子であるxCT及び4F2hcのmRNAが認められた。以上の結果は、BBBにおけるAl citrate輸送にsystem Xc-が関与することを示しており、酸化的ストレス防御因子との関連からも興味深い知見である。
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