未分化間葉系細胞より分離され分化と増殖を明確に区別できるTBR 31-2細胞について骨芽細胞としての性質の確認と発現しているGPI-アンカー蛋白質の解析を行った。増殖及び分化時期における骨芽細胞の転写調節因子と表現形質の発現を抽出した全RNAを用いRT-PCR法にて測定した。骨芽細胞の表現形質である骨形成マーカーであるColA、OPN、ALP、BGPの4種類は分化時期に発現していることが判明した。TBR 31-2細胞を分化用培地である10%FBSを含むα-MEM培地で37℃で培養すると、ALP比活性の経時的な上昇が観察された。また、カルシウム量は21日目以降に急激に上昇した。以上の結果よりTBR 31-2細胞は骨芽細胞へと分化する性質を持つことが確認された。 TBR 31-2細胞の膜表在性蛋白質の可溶化を検討した結果、PI-PLCで可溶化されるGPI-アンカー蛋白質の分子量はそれぞれ120kDa、112kDa、96kDa、60kDa、55kDa、41kDaと算出された。現在これらの蛋白質を分離精製しTOF型質量分析計による解析を行っている。 HeLa229細胞に酪酸ナトリウムを作用させると、分子量約60kDaおよび38kDaの蛋白質の発現量が著しく増加した。分子量約60kDaの蛋白質は抗ヒト胎盤型ALP抗体と交叉反応したことから、GPI-アンカー蛋白質であるALPの可能性が高いと推定された。また、酪酸ナトリウム処理で増加してくる約38kDaのGPI-アンカー蛋白質は、ゲル内トリプシン消化し得られたポリペプチドをTOF型質量分析計で分離し検索エンジン「MS-Fit」で解析すると葉酸受容体であることが判明した。
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