ヒト肺がん細胞PC-9を、緑茶の主成分である(-)-epigallocatechingallate(EGCG)とがん予防薬sulindacとを同時に処理すると、アポトーシス関連遺伝子の発現が相乗的に亢進することを見出した。この際、がん細胞の増殖抑制とアポトーシスに関連したGADD153遺伝子の発現亢進が認められた。 本年度は先ず、EGCGとsulindac、EGCGと非活性型のsulindac sulfoneで相乗効果を確認し、更に、EGCGと抗がん剤5-FUの併用について検討した。 1.PC-9細胞増殖の相乗的抑制 (1)EGCGとsulindac同時処理による増殖抑制 EGCGは51.5%、sulindacは5.5%の抑制を示した時、EGCGとsulindacの同時処理は、81.1%と減少した。肺細胞A549について同様の実験を行うと、同時処理による減少は小さく、がん細胞によって少々異なることが見出された。 (2)EGCGと非活性型sulindac sulfone同時処理による増殖抑制 EGCGは61.8%、sulindac sulfoneは9.9%の抑制を示した時、同時処理は99.4%と減少し、非活性型でも著明な抑制が認められた。 (3)EGCGと5-FU同時処理による増殖抑制 PC-9、A549、H226Bのヒト肺がん細胞3株について検討したが、相乗効果ではなく、相加的増殖抑制が得られた。 2.GADD153遺伝子の相乗的発現亢進 (1)EGCGとsulindacの同時処理18時間後に最大の発現亢進が認められた。 EGCGと5-FUの同時処理12時間後に最大発現亢進が認められた。 以上、本年度は相乗効果の確認を行い、更にEGCGと抗がん剤との併用に研究を進めた。
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