研究課題
基盤研究(C)
コフィリンは普遍的なアクチン結合蛋白で、非リン酸化体のみがアクチンと結合して、繊維性アクチンの切断、脱重合を引き起こす活性をもつ。LIMキナーゼによってリン酸化されると、不活性体となりアクチンとは結合できなくなる。最近、我々は食細胞の活性酸素産生や貪食機能において、コフィリンが重要な制御機能をもつことを明らかにして報告してきた。本研究では、食細胞の走化性におけるコフィリンの役割を検討した。インターロイキン8(IL-8)は、食細胞に対する強力な生理的ケモカインだが、細胞内ではコフィリンの早い脱リン酸化反応と、それに続く再リン酸化反応を引き起こした。コフィリンのリン酸化領域のペプチドと膜透過性配列ペプチドを融合させた配列をもつペプチドS3-Rで細胞を前処理しておくと、コフィリンのリン酸化が阻害されるとともに、IL-8による走化性は亢進した。コフィリンのリン酸化領域についてC末側とN末側を逆向きにした配列のペプチドでは、コフィリンのリン酸化阻害も走化性亢進も起こらなかった。一方、PI3キナーゼの阻害剤であるワートマニンやLY294002で細胞を前処理しておくと、ケモタキシスもコフィリンのリン酸代謝回転も阻害された。さらに、コフィリンのsiRNAでコフィリンレベルを低下させると、走化性は抑制された。以上の結果より、食細胞の走化性には非リン酸化型の活性化コフィリンが不可欠の重要な役割を果たすこと、およびPI3キナーゼがコフィリンのリン酸化・脱リン酸化反応を上流で調節する機能を果たしていることが示唆された。
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