研究概要 |
疎水性パラメータlog P_<oct>(P_<oct>: 1-octanol/水系分配係数)の予測には水素結合効果の寄与を正確に評価する事が重要で、H-acceptorを含む化合物の予測についてはH-acceptor parameter,S_<HA>,を開発することにより良い結果を得ている.本研究においてはフェノール誘導体をモデル化合物としてH-donorを含む化合物の予測法の確立に挑戦した. 1.log Pのデータ蓄積と予測法の確立 モノ置換フェノール(置換基:non-H-donor)のlog P値をCHCl_3/水系(log P_<CL>)とbutylether/水系(log P_E)で測定し、log P_<oct>との相関関係をS_<HA>を用いて定量的に解析したところ次の良好な相関式を得た.(σ^o:電子的置換基定数) log P_<CL>=1.050log P_<oct>-1.172σ^o+0.754S_<HA>-1.968 log P_E=1.188log P_<oct>-0.280σ^o-0.298S_<HA>-0.488 両式の係数の差はクロロホルム(H-donor)とブチルエーテル(H-acceptor)の水素結合効果の差をよく説明し、S_<HA>がすぐれた水素結合parameterであることが示された. 2.電子的・立体的parameterの予測と活性値解析への適用 フェノール化合物であるHydroxybenzalacetoneの抗酸化活性(IC_<50>)を測定し、化合物の物理化学的パラメータを用いて解析したところ、次に示すように電子的パラメータ(σ^+)とOH基のオルト置換基の立体パラメータ(Es)で表現できることがわかった。 -log IC_<50>=pσ^++eEs+const. σ^+,Esはともに経験的parameterであるためMO等計算により、これらのparameterを予測する方法を検討した結果、σ^+はE_<HOMO>(HOMO-Energy)とF_<H,O>(Frontier electron density on OH)で、EsはCOMFA解析によるsteric fieldで表現でき、計算のみにより活性値の解析が可能であることが示された. -log IC_<50>=eE_<HOMO>+fΣF_<H,O>+[CoMFA steric field]+const.
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