研究概要 |
天然資源から新規のアレルギー予防薬を開発する目的で,感作後,アレルギーのプロモーター過程で起きる尾静脈微小循環の血流量低下を指標とした独自のアッセイ法を確立し,本モデルにおける血流量低下のメカニズムを以下の様に検討した. (1)感作による血流量低下に関与するNO合成酵素をiNOSと堆定し,感作マウスでのiNOS発現をWestern blot法により検討した結果,血流の測定部位である尾部血管,ならびに心臓,肝臓,腎臓の各臓器では発現が観られなかったが、胸部及び腹部大動脈血管において,感作マウスにのみにiNOSが発現していることを確認した. (2)選択的iNOS阻害剤1400Wを本法に適用したところ,血流量低下を改善しなかった.さらにiNOS欠損マウスにおいても,その野生種と同様に感作による血流量低下を確認したことから,iN0Sは本モデルでの血流量低下に必須な因子でないことを示した.一方,iNOS欠損マウスの血流量低下の程度が野生種に比べて弱かったことからiNOSは血流量低下をより重篤化する因子となる可能性を示した. (3)各種阻害剤を本モデルに適用し,本血流量低下には,血管内皮および血小板由来のPGI_2およびTXA_2,炎症性サイトカインや血液凝固因子により血管内皮細胞から誘導されるエンドセリン-1,活性化好中球から放出される顆粒球エラスターゼが関与すること示した.さらに,本モデルの血流量低下メカニズムは,血管内皮細胞の障害に起因する血液凝固活性化による微小血栓形成,血管収縮による血流停滞、血管透過性亢進による血液濃縮(泥状化)が複雑に関与して起きると考えられている臓器虚血疾患の発症メカニズムと類似することを考察した.
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