研究課題/領域番号 |
15590110
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
白崎 哲哉 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (30264047)
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研究分担者 |
副田 二三夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (10336216)
高濱 和夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (80150548)
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キーワード | 内分泌撹乱物質 / 環境ホルモン / ジエチルスチルベストロール / DES / シナプス可塑性 / 長期増強 / LTP / 海馬 |
研究概要 |
まず、6週齢ddy系雄マウスで高頻度刺激(HFS)条件を検討した。EPSP振幅が最大の1/2となるようにテスト刺激を設定し、100Hz100パルス、50Hz100パルス、20Hz100パルス、50Hz50パルス、または50Hz30パルスのHFSを与えた。その結果、50Hz30パルスで、比較的安定して弱いLTPが記録された。よって、これを弱いHFS条件とした。実験には、妊娠11〜17日のddy系母マウスにDES(0.1μg/30μLコーンオイル)またはコーンオイルのみを1日1回経口投与し、生まれた雄の仔マウスを用いた。 生後3週齢では、コントロール群およびDES暴露群で共にHFS後60分間にわたり約40%のLTPを惹起し、両群間に有意な差は見られなかった。同様の結果は生後4週齢でも観察された。しかし生後6週齢では、コントロール群に比べてDES暴露群で大きなLTPが観察され、その増強は60分以上持続した。HFS前10分間の平均EPSP振幅を1としてHFS後50-60分間の平均EPSP振幅を算出し、群間比較を行った。その結果、コントロール群では1.34±0.06(n=10、34%LTP)、DES投与群では1.70±0.10(n=12、70%LTP)となり、両群間に有意な差が見られた(P<0.05)。このことは、リン酸化型カルモジュリンキナーゼII(pCaMKII)αとpCaMKIIβが共に生後6週齢で急に上昇するという我々の最近の知見とよく一致する。 しかし、生後6週齢において50Hz100パルスのHFSを与えた場合は、HFS後20-30分のEPSP振幅がコントロール群で1.74±0.26(n=4)、DES暴露群で1.73±0.17(n=7)となり、両群間で有意な差が見られなかった。このことから、DES暴露の影響は弱いHFSに対して顕著である可能性が示唆された。
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