研究課題
基盤研究(C)
N-ニトロソジアルキルアミンは環境内に存在し、そのもの自身では生物活性はないが、生体内で代謝活性化を受けることで発がん性や変異原性を示す。N-ニトロソジアルキルアミンが酸化的な代謝活性化を必要とすることに注目し、酸化的代謝モデル系の一つのhydroxyl radical発生系を用いて、活性酸素種とN-ニトロソジアルキルアミンとの反応における活性化経路の解明を目的とした。本研究では、活性酸素種との反応により生成する変異原を単離し、反応液における変異原の活性への寄与を明らかにした。従来の研究により、NMBの修飾Fenton試薬処理の反応液から変異原として5-methyl-5-nitro-1-pyrazoline 1-oxide(mutagen X)を同定しているものの、実際の反応液の変異原活性はmutagen Xよりも15倍も高い活性を示した。そこで、素早く分離することにより新たな変異原の単離を試みたところ、NMBの修飾Fenton試薬処理により新たにmutagen Yを単離した。Mutagen XとYは非常に極性が類似し、またmutagen Yは不安定な物質であることから単離できても分解してしまうために十分な機器データを得ることはできず、構造決定には至らなかった。NMBから生成する変異原をmutagen XおよびYの2種類のみと仮定して求めた活性の計算値と実際の活性が一致したことにより、修飾Fenton試薬によりNMBから生成する変異原はmutagen XおよびYの2つであることを明らかにした。本研究において、NMB由来の変異原として新たにmutagen Yの存在を示し、修飾Fenton試薬処理によりNMBからmutagen XおよびYが生成して活性を発現することを明らかにした。
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