研究課題
基盤研究(C)
性周期におけるP-糖たん白基質薬物の体内動態変化を明らかにすることを目的として種々の検討を行い、下記のような新知見を得た。1.黄体形成ホルモン(LH)を雄性ラットに単回静脈内投与するとジゴキシン及びビンブラスチンの吸収が有意に増大した。このことから、LHが血中に高濃度に存在するとき小腸P-糖たん白による分泌輸送が減弱し、基質薬物の消化管吸収が増大することが示唆された。また、LHの静脈内投与時により、ジゴキシンの血中からの消失も遅延したことから、LHは腎上皮細胞に存在するP-糖たん白をも同時に阻害することが示唆された。2.ラットにおけるニューキノロン系抗菌薬(NQ)の消化管吸収に対するP-糖たん白の寄与についてin situループ法及び拡散チャンバー法にて検討した結果、ロメフロキサシンやガチフロキサシンの消化管吸収がP-糖たん白によって顕著に抑制されていることが明らかとなった。3.ガチフロキサシンを健常成人女性の性周期0〜4日目(M_<0-4>)及び11〜13日目(M_<11-13>)に単回経口投与し、8時間後まで血中濃度を測定した。その結果、M_<0-4>に比べ血中LH濃度が上昇しているM_<11-13>において、最高血中濃度の上昇、最高血中濃度到達時間の短縮そして血中濃度-時間曲線下面積(AUC)の増大が認められた。また、M_<0-4>とM_<11-13>における血中LH濃度の比(LH_<11-13>/LH_<0-4>)とAUCの比(AUC_<11-13>/AUC_<0-4>)の間には相関性が見られたことから、性周期内におけるLH濃度の上昇の程度に応じてP-糖たん白基質薬物の体内動態も大きく変動することが示唆された。性周期内における血中LH濃度は個体間で大きく変動することから、これらの知見は閉経前の女性患者におけるP-糖たん白基質薬物の適正使用に極めて重要な示唆を与えるものである。
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