研究課題/領域番号 |
15590140
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
林 正弘 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (20012669)
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研究分担者 |
富田 幹雄 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (60207610)
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キーワード | 腸管吸収 / 遺伝子診断 / P-glycoprotein / 末梢リンパ球 / 感染症 / 小腸虚血再灌流 / 免疫抑制剤 / 炎症性腸疾患 |
研究概要 |
薬物の腸管吸収性および体内動態を遺伝子診断から予測するシステムの開発が本研究の主要テーマである。感染症における薬物療法を念頭に、感染症モデルラットを作成し、正常ラットとの比較を行ったところ、腸管P-glycoprotein(P-gp)のタンパク発現レベルは正常時に比べて低値であり、それを反映してP-gp基質の吸収は増大した。別途P-gpをコードするmdr-1a、mdr-1b、mdr-2、sister-P-gpの腸管mRNAレベルを測定したところ、P-gp基質の吸収性を予測するには、mdr-1aのレベルから予測可能であることが示された。さらに末梢リンパ球中の遺伝子レベルを調べたところ、mdr-1aに腸管mdr-1aとの対応が見られたことから、生検を必要とせずとも、リンパ球採取という非侵襲的な方法から、P-gp基質である薬物吸収を予測可能であることが示された。さらに小腸移植後の免疫抑制剤の適正使用を目指して、移植時の虚血再灌流モデルラットを作成し、正常ラットとの比較検討を行ったところ、腸管P-gpのタンパク発現レベルは正常時に比べて減少し、これを受けてP-gp基質の吸収は増大した。一方、小腸虚血再灌流はP-gp基質の胆汁排泄の低下を引き起こしたが、肝臓P-gpタンパクレベルは正常時に比して変化が無く、今後はmRNAレベルの検討が急務である。またリンパ球中のmRNAレベルの測定も進行段階にあり、前述した遺伝子のどれが腸管吸収性の予測に適するかの結論が待たれる。 以上、適正な薬物療法の確立には、感染症にはリンパ球中のmdr-1aが指標となるが、移植後の免疫抑制剤及び現在検討中の炎症性腸疾患に関しては、必ずしもmdr-1aが指標とはならない可能性もあり、今後の詳細な検討が必要である。
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