研究概要 |
この研究では、ゲフィチニブの臨床的な感受性を予測することを目的に術後再発症例でゲフィチニブに対する臨床的な感受性を見ること、さらに、手術標本を用いることにより、1)腫瘍におけるEGFR(Her1)の発現、他のHer family(Her2,3,4)の発現を検討した。 方法:当院において手術が施行されたのちに再発した症例において、ゲフィチニブ250mgの内服による化学療法を施行し腫瘍の増大が認められるまで治療をおこない、その臨床的な効果を検討した。検討項目としては、副作用、抗腫瘍効果、腫瘍の増大までの期間および生存期間を考慮した。 また、Her family受容体に対するmonoclonal抗体を用いて免疫組織染色を行い、腫瘍における蛋白レベルの発現を検討した。 結果:これまでに15例の術後再発症例で検討し、ゲフィチニブに対する臨床効果としては奏功例が3例、非奏功例が9例、3例が評価不能であった。Her family受容体の発現は奏功例においてはHer1/Her2/Her3もしくはHer4の3種類以上のHer family受容体の共発現が認められた。一方、非奏功例では3種類以上のこれらのHer family受容体の共発現は1例も認められなかった。 結論:以上よりゲフィチニブの感受性がHer1だけではなく、他のHer family受容体の発現により規定されている可能性が示唆された。現在さらに、生検材料も用いて、この結果を検証する研究をおこなっている。
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