研究概要 |
上皮成長因子受容体のTyrosine kinaseの阻害剤であるゲフィチニブの臨床的な感受性を予測することを目的に術後再発症例でゲフィチニブに対する臨床的な感受性を見ること、さらに、手術標本を用いて、上皮成長因子受容体遺伝子変異の有無を検討した。 方法:当院において手術が施行されたのちに再発した症例において、ゲフィチニブ250mgの内服による化学療法を施行し腫瘍の増大が認められまで治療をおこなった。ゲフィチニブを投与された27例症例を対象とし、手術時に保存された腫瘍組織からDNAを抽出し上皮成長因子受容体遺伝子のExon 18,19,21(Tyrosine kinase domain)における遺伝子変異をSSCP法を用いて検索した。27例中13例で遺伝子変異を認め(Exon 18;1例, Exon 19;8例, Exon 21;4例)、13症中10例(77%)がゲフィチニブに対して奏効していた。 2.考察; 上皮成長因子受容体遺伝子の遺伝子変異がゲフィチニブの感受性と強く関与する可能性が確認された。また、これらの遺伝子変異は手術時の標本すでに存在し、また、手術時に存在しない症例ではゲフィチニブに奏功していないことがほとんどであり、発癌時にはこれらの遺伝子変異はすでに存在し、標本の採取の時期にかかわらず、これらの遺伝子変異の有無を検索することが有用であることが示唆された。今後、これらの遺伝子変異の有無による治療法の選別を行なう前向きな試験が必要であると考えられた。
|