研究課題/領域番号 |
15590158
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鳥橋 茂子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90112961)
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研究分担者 |
中山 晋介 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30192230)
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キーワード | ペースメーカー / c-Kit / カハールの介在細胞 / 自動運動 / 消化管 / マウス胚性幹細胞(ES細胞) / in situ hybridization / 転写因子 |
研究概要 |
1.消化管運動ペースメーカー細胞を認識する新しい抗体の作成 消化管の平滑筋は神経をブロックしても消失しない律動的自動運動能を持っている。これは筋層に存在するペースメーカー細胞によって駆動される。この細胞は癌原遺伝子c-kitを発現しているカハールの介在細胞(interstitial cells of Cajal : ICC)で、その研究はc-Kitレセプターに対する単抗体によって飛躍的に発展したが抗c-Kit抗体の限界も指摘されている。そこで我々は、ICCを認識する新たな単抗体を作成した。この抗体(AIC)の抗原はc-Kitではないことが確認された。しかしSDSや界面活性剤で免疫活性が不活化されるために抗原の同定はできなかった。従ってAICは生化学的研究には制限があるが、免疫電子顕微鏡法を含めて形態学的な利用価値は高い。本研究については論文投稿中である。また、抗体の作成法を含めて特許を申請している。 2.マウスES細胞を用いた腸管様構造の作成 胚性幹細胞(ES細胞)は全能性細胞でマウス胚や成体組織の様々な細胞や組織に分化しうる。我々はこのマウスES細胞が自動運動能を持った腸管様構造を形成しうることを見出して報告した。またその形成過程がマウス胚における腸管形成を踏襲していることを確認し、in vitroでの消化管形成モデルとなることを示して論文投稿した(in press)。さらに、形成された腸管様構造がマウス消化管のどの部位に相当するかについて、また、形成過程で発現する組織特異的な転写因子群が関っているかについてwhole mount in situ hybridization法で検討している.今後はこのin vitroでの腸管様構造形成モデルを用いて平滑筋やペースメーカー細胞の発生や分化に関する研究を行う。
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